気候変動の深刻化を受け、その大きな要因の一つである温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること=「脱炭素化」を目指す取り組みが、世界中で行われるようになりました。車載用として使われる半導体にはいくつかの種類がありますが、EVの場合は通常の自動車と比べてより高圧・大容量の電力が必要です。そういった大きな電圧や電流を扱える半導体が求められます。ここで活躍するのが「パワー半導体」です。パワー半導体は、その電圧や電力への耐性の高さから、自動車だけでなく産業機器、電力、鉄道、家電まで多様な電気機器の制御に用いられています。
このように幅広い場面で活躍するパワー半導体は、開発の積み重ねで性能が高められてきました。しかし、「現在のSi(ケイ素=シリコン)を主な材料とするものではこれ以上の性能向上は難しいだろう」と物理的な限界が指摘されるようになっています。 そこで現在は、Siパワー半導体の課題である “効率化” と “小型化” を実現するものとして、「SiC(炭化ケイ素)パワー半導体」への注目が高まっています。 SiCパワー半導体とは、Si(ケイ素)とC(炭素)の化合物である「SiC(炭化ケイ素)」を主材料とする半導体を指します。
SiCパワー半導体は、Siパワー半導体と比べた際に次のような特徴を持ちます。
- より高い電圧や電流、動作温度に耐えられる。
- 電気抵抗が生じる箇所の厚さを1/10ほどに抑えられるため、電力のコントロールを行う際のエネルギーの損失が少ない。
- エネルギーの損失(通常は全て熱として放出される)による発熱を抑えるための放熱機構を小型・簡略化できるため、機器の小型化が叶う 。
- エネルギー損失が少ない分、電力をコントロールする機器が効率よく動作するため、一度の充電で走れる距離が長い など
これらの特徴を活かし、Siパワー半導体に代わって、より性能が高く省エネルギーを実現できる “次世代パワー半導体” として期待されています。
東栄産業が取り扱う製品のご紹介
シリコンカーバイドフォーカスリング(SiC Focus Ring)
- 半導体製造工程の内、エッチング(蝕刻)工程に使われる消耗品: 主にメモリー半導体の分野で使用
- 蝕刻装備の内部でプラズマをウェーハの中に安定的に集中させ、プラズマの密度を均一かつ正確に 維持してくれる役割を遂行
[ SiC Focus Ring Shape ]
CVD SiCの製造工程
CVD SiC素材の特長
SiC Parts
SiCコート製品
原料(グラファイト)からのガス発生やパーティクルを防ぐため、CVDプロセスで製造されたSiCコーティング部品。
- 高純度
- 酸化雰囲気下でも使用可能
- 高い耐薬品
- 高温でも安定
バルクCVD SiC製品
半導体プロセスで使用される部品の寿命と歩留まりを向上させるために、CVDプロセスで製造されたバルク CVD SiC製品。
- 高い耐食性
- Siに比べて長寿命
- アウトガスなし
- 熱変形なし